こんにちは。mitteのトレーナーのイワサキ ケンジです。
今年は暖冬と言われていますが、夜間晴れているときに水たまりがあると放射冷却現象で薄氷が張って、路面が凍結することがあります。まず、凍った路面での転倒に注意してください。
この時期どの地域でも増えるのは、着膨れによる転倒です。車にたとえると、本来は「軽自動車」のすれ違いのはずが、「3ナンバー」同士ほどのすれ違いとなるのです。
人がすれ違うときも同様です。ホームでは、電車のドアの閉まりかけに慌てて降りる人と、駆け込み乗車する人がぶつかる事態に。
混雑時、階段の転倒者も増加します。原因となる主行動は飲酒。寒い時期は空気が乾燥して、喉がひっかかる感じがしがちです。こんなときに飲みたくなるのは、たとえばお酒。喉を潤してくれますよね。一杯と思いながらも、ついつい杯を重ねてしまう……。
飲み終わって店を出ると寒気が体を包みます。するとその寒さで関節の柔軟性が悪くなり、着膨れの冬のほろ酔い状態は転倒を招きがちになるのです。
なかでも、医療関係者泣かせなのが泥酔者の転倒。頭部の外傷で出血が大量の場合などは、救急対応となります。酔いが覚めても受傷時の記憶が曖昧だったり、欠落していたりするので、体のどの部位から調べればいいのか困惑することがあります。
また、熱いお湯につかるという習慣は日本独自と言っても過言ではありません。しかし、脳卒中増加の原因の一つとして冬場の入浴が挙げられます。理由は下記の通りです。
1.冷たい空気と温かい湯による体温の変化
2.湯船内の水圧による血圧変化
3.温かいお湯による体温上昇に伴う末梢血管の拡張と、冷たい空気による末梢血管の収縮
4.湯船に長時間つかった場合、脱水症で起こる血圧の変動
「冬場の入浴は控える」というのは無理があるでしょうが、「冬場の露天風呂は可能であれば極力避ける」はお伝えしたほうがよいでしょう。冷たい外気に触れるのが確実だからです。それでも、露天風呂に入りたいですよね。“冷たい空気による末梢血管の収縮”の部分は、多少改善可能です。いわゆる「半身浴」の応用です。長時間お湯につかって体全体を温めれば、冷気による末梢血管の収縮を減らすことが可能です。
水圧による血圧変化を減らすために肩までつからず、せいぜい胸ぐらいまでの深さの場所で入浴しましょう。長時間お湯につかれば、脱水も進みますが、脱水の問題は水分補給を入浴中に行えばなんとかなります。
お風呂場の転倒にも注意しましょう。湯気で視界が悪く、お風呂場は転倒が起きやすい場所です。初めて行く温泉などでは、浴室の下見をおすすめします。
そして、最後はトイレに潜む魔物の紹介。その名は“腹圧”です。いきんで力を入れると、腹圧は骨盤底筋に圧をかけ、横隔膜を押し上げます。すると同時に、血圧も上昇するのです。いきむのをやめると、血圧は元に戻ります。動脈硬化が進行している方の場合、血圧の上昇と血圧が戻るときの変動が大きく、脳卒中の引き金となりかねません。
この場合の対策は、いきまなくても便通がいい状態を維持することです。手っ取り早いのは、乳酸菌の摂取ですね。ぜひ、心がけてみてください。
最後までご清覧いただきありがとうございます。